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有機半導体レーザー(OSLD)の商用化に向けた新しいdevice構造の特定に成功し、IDW’23において実機によるデモを行いました。

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2023.12.19

株式会社KOALA Techは、このたび、有機半導体レーザー(Organic Semiconductor Laser Diodes、OSLD)の商用化に向けた重要な一歩となる、電流励起(注1)で単色光(monochromatic light)が直進(directionality)するデバイス構造の特定に成功しました。

この成果は、2023年12月6~8日に新潟県新潟市で開催された国際学会International Display Workshops (IDW 23)において、CEOファティマ・ベンシュイクが発表を行い、実機によるデモ(注2)も実施しました。有機半導体レーザーを商業適用する上で、電流励起で単色光が直進するデバイスを安定して実現することは不可欠の課題となります。当社の技術は、2019年に九州大学が世界に先駆けてOSLDの電流励起発振に成功したことをシーズとしています。
その後、光励起(注3)で種々の発光波長の有機レーザーを開発してきました。しかし、当社を含め、これまで電流励起で単色光が直進することを再現性よく確認できた例はありませんでした。
当社は、九州大学のシーズをベースに、デバイスの材料構成や共振器設計を最適化する独自ノウハウにより、これを実現しました。OSLDは、スマートフォンや薄型テレビに使われる有機EL(OLED)のデバイス構造をベースとしています。
今回当社が実現した発散角度3度以下の良好な直進性、半値幅2nm以下の単色性(注4)は、OLEDでは原理的に実現できないレベルのもので、有機デバイスの光学性能の大きな飛躍を意味します。
この特性を活かし、デバイスの生み出す光をより効率的に利用することで、ディスプレイの画質向上、消費電力改善、ひいては輝度改善に繋がります。
さらに、センサー光源としても利用することが出来、OLEDを高付加価値化する新しいソリューションとして、OSLDがスマートグラス向けマイクロディスプレイや各種ヘルスケアデバイスへ広く適用されることが期待されます。
当社は、今回の成果を可能にした、材料設計、デバイス設計、シミュレーションなどに関する独自ノウハウをもとに、新しい有機光ソリューションの開発と事業展開を進めて参ります。

*注1: 電流励起:デバイス外部から電子とホールを注入し再結合させることにより励起状態を作る方法

*注2

*注3: 光励起:デバイス外部から光を照射することにより励起状態を作る方法

*注4